story
ユーファン
チェン議員(ホンデュラス)の娘、ユーファン(ムーン・リー)は、バイト先の喫茶店でシャオチャン(リン・ジェーシー)と6年ぶりに再会する。離婚したチェン議員は妊娠中の秘書と再婚後、台北から宜蘭へ引越すため、ユーファンも引っ越さなくてはならないが、思いは複雑だった。シャオチャンの積極的なアプローチと優しさにユーファンは癒され、彼と一緒に暮らすことにする。そんなある日、街中に刀を持った黒づくめの男が現れ、ユーファンを助けたシャオチャンが斬られてしまう…。
モニカ(ミッシー)
ユーファンと同じ劇団員のモニカ(アニー・チェン)は、演技がうまくいかず焦っていた。削除したはずのアダルトビデオも出回っている。俳優をめざすモニカは、映画のオーディションを受けるが失敗。だが、プロデューサーは彼女に可能性を感じ、名刺を渡す。ユーファンはいつもモニカを慰めていたが、過去に悩むモニカはユーファンにビデオの存在を告白する。自宅でビデオを観るユーファン。一方、間借人のミンリャン(リン・ボーホン)はそのビデオの主人公ミッシーに取り憑かれていた…。
ミンリャン
実業家グオ氏(タン・ジーウェイ)の息子ミンリャンは、離婚後に酒浸りになった母親も避け、チェン議員の家で間借人として暮らしていた。交流はなく、部屋に閉じこもってVRゲームで刀を振り回している。夜には自転車で買い物にでかけるが、酔いつぶれて外で寝込んでいたシャオ(ディン・ニン)を助けたことから、彼女に母親を求めるようになる。コスプレイヤーのキキ(ヤオ・アイニン)がミンリャンに告白するが、相手にしなかった。そしてある晩、ユーファンとミッシーが抱き合っているのを目撃し…。
シャオチャン
退院したシャオチャンは、ユーファンと連絡が取れなくなる。引っ越してしまったのだ。船で料理人をしていた彼は、自分の店を持ち、ユーファンと二人で暮らす未来を描いていた。二人で探した店の契約書も届いた。そんなある日、手紙が届き…。
アジコのおすすめポイント:
夜の台北を背景に、4人の男女を中心とした愛憎劇をスリリングに描いたサスペンスドラマです。それぞれの視点から描いた章立てになっており、なぜ事件が起こったのか、その背景と顛末、その先はどうなるのか…が、徐々にわかるようになっています。監督はポスト「台湾ニューシネマ」の鬼才と呼ばれるマレーシア出身のホー・ウィディン。ニューヨークに留学中、「台湾ニューシネマ」や作家主義の巨匠たちの影響を受け、本作の企画を創案。舞台をニューヨークから台北に変更したことで、若者たちの暴発を描くエドワード・ヤンの傑作『恐怖分子』と通じる物語になり、英語タイトルは同じ「テロライザーズ」となりました。(21年の東京国際映画祭では英語タイトルで上映)本作で暴発してしまう主人公を演じるのは、『恋の病 〜潔癖なふたりのビフォーアフター〜』が印象的だったリン・ボーホン。親子間の愛情欠落からくる不安や孤独、デジタルネイティブなZ世代の落とし穴など、現代社会に起こりうる問題が描かれています。それはまさに人生の「弑恋」=「試練」。彼らの未来は?
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